| インドの列車 |
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| インドは大陸。国土は日本の12倍。したがって長距離列車がたくさん走っている。主要都市は全て鉄道で結ばれている。車窓を眺めながら(ただし同じ風景が続く地帯が多い)隣り合わせたおじさん、おばさん、インドの庶民との接点を楽しむ良いチャンス。私は何時も2等の寝台列車を利用している。インドの中流の人が乗っている列車である。19年経った今も2等寝台に乗っているので以下のお話は2等寝台車でのお話です。近距離はついつい予約なしで乗れるバスの移動が多い。フライトは外国料金になるので結構高い。でも広大な大陸の移動は飛行機が早い。たまには時間の関係で取らざるを得ないこともある。だが、特に冬のデリーは毎日霧が発生。フライトは何時も遅れる。地方のフライトはデリー発が多い。オランガバードからボンベイのフライトを取った時、やはりデリー発でたった45分のフライトを12時間待たされたことがあった。インドの冬は列車に限る。だが・・・・ どうやってチケットを買うか 列車はほとんど満席で混む。したがって前もってチケットを購入しないと無賃乗車の手しかなくなる。ほとんどの駅に予約センターbooking officeがある。それは一般のチケットを売っている建物と違うことが多い。同じ建物でも階が違ったりする。以前は窓口で何時何処へ行くといって買っていたが、最近は所定の用紙(reservation form)に日時、列車の名前、行き先、名前と男女、そして年齢をも書き込み窓口に提出して買う。ということは駅の時刻表を自分で読まなくてはいけない。難しくはないが慣れないと、到着時刻は記されていないので早いのか、遅いのかも分らない。mailとかexpはあまり早くない。長距離はsuper expressがあれば早い。私だって今だにこの時刻表の見方が良く分らない。いつも側にいるインドの人にお世話になっている。xxに行きたいがどれが早いのですかと尋ねる。インドでは英語が話せる人が多いし、お世話好き(おせっかいでもあるのだが)なので助かる。 私の席は何処? コンピュターでプリントされたチケットにはコーチナンバー、シートナンバーが書かれている。コーチナンバーは列車のナンバー、寝台車であればS3とか書いてある。だが番号順に列車が連結されていない。大抵チョークで列車にS3とか書かれているのだが、そこはインド、書き忘れていることもある。始発ならばよいがそうでなければ・・・。旅の最初頃はとても困った。リュックを背おってホームをうろうろと走り周ったこともある。だがこういう事情が分ってくると列車を待っている時、周囲のインド人に「私はS3に乗ります」と言っておく。親切なインドの方が私の乗る列車を教えてくれる。何時もではないが、乗客名簿が何故か年齢も沿えて列車ののり口に張り出されることもある。が、これを全て確認するのは無理。 最近私はだんだん加齢と共にラクチンな乗車をしている。少々お金が必要なのだが、ポーターを使う手である。リュックを担いでもらい、私のシートまで案内してもらうのである。料金は50円から100円。あら安いと思わないで下さい。これだけであれば豪華?な食事が出きるのですから。まー若い人にはして欲しくないが、私の年齢では許されると思っている。 列車内 インドの列車は日本より幅が広い。したがって3段の寝台と通路をはさんで窓に沿ったもう2段の寝台がある。女性ばかりの席になることもあるが、何時もそうだとは限らない。寝台を使わない時は下段に3人座る。窓に沿った席は対面で座る。寝台を設置するのは自分達でする。28時間というような長距離に度々乗っているが、だんだんと同席者と仲良くなると適当に昼間だって空いている寝台で寝る。私が好きな席は窓に沿った寝台の下段。だって寝転んで満月や星を見ることが出きるから。窓は木製のブラインド、ガラスの窓がある。これがなかなか開けたり閉めたりするのが難しい。ハイ、これもインドの親切なおじさん、お兄さんにお世話になっている。この窓がきちんと閉まらない冬の列車は悲惨。隙間風が容赦なく吹き付ける。特に北インドの冬は寒い。ほとんどのインドの人は毛布に枕を持参。だがインドだって変化はしている。最近はアタッシュケースを持ち歩いているビジネスマンらしき人を見かけるが、実はこのアタッシュケースの中身は毛布と携帯用枕。空気を入れて膨らます枕。私の枕は貴重品が全てが入っているショルダーバッグ。少々堅くって心地よいとはいえないが安全のため。特に北はショールなどでは寒さしのぎにならない。やはりブランケットが必要。何時も列車に乗ると風邪気味になるので今冬はフリースのブランケットを持参した。なかなか良かったが、旅の最後が近づくと荷物が増え、「ああこれが無ければもっとスペースがあるのに」と思ったが・・・ 2等寝台はクーラーも暖房もない。扇風機が車内の天上に1ブース8人に対して4個ある。夏はそれぞれの扇風機が風の向きをかえてうなり続けている。窓も当然開けているので夜、蚊に悩まされることもある。 |
| 定刻に着くか? 列車は良く遅れる。日本の新幹線なんてインドの人から見れば神業。1時間遅れても、2時間遅れても誰も苦情は言わない。乗せてもらえれば目的地に着くのだから。でも以前から比べると何時間も遅れるという事は少なくなったようだ。今までの経験で一番悲惨だったのは10年くらい前、真夜中発、確か23時半発だったと思うが、その列車が6時間遅れた。夜遅くなるとアナウンス(一応、インド英語の放送有り)もなくなり、何時列車がやって来るかという情報が入手できないままホームのベンチに座っていた。2,3、時間後、駅員の人が私のベンチにやって来て「ここは危ないからウエィティングルームへ行きなさい」と言った。そこでやっと列車は6時ごろ来るという事が判明。ウエィティングルームへ行ったが一杯。普通大体の駅に男女別のウエィティングルームがある。シャワーがあるところもある。仕方がなくウエィティングルームの床に座り込み夜明かしをした。疲れた!という経験がある。 では始発駅はというと、定刻もたまにはあるが、その列車はずーとその駅にいるのではない。何処からかやって来て、違う路線になるのだから必ず定刻という訳にはいかない。遅れるだろうと分っていてもやはり出発時刻以前に駅へ出かける。そして待つのみ。 たとえ遅れても大きな駅では20分間は停車する。インドの人はホームに降りて買い物などをするが、私はこれが分っていても、置いてゆかれては大変とホームへ降りることはない。時には「おじさんあのバナナ買って来て」とホームに降り立ったおじさんに頼むこともある。 列車が発車する時、ベルもゴングも鳴らない。列車はゆっくりと走り出す。まるで「サー出発ですよ。乗って下さーい」とゆっくり、ゆっくりとすべりだすので飛び乗ってもそんなに危なくない。インドの列車は遅れるけどやさしいのです。 |
| 同席は親戚? 先日デリー発アーマドバド行きの列車にジャイプールから乗った。長椅子(寝台)は3人がけなので向かいと合わせて6人が座ることになる。私の席は男性ばかりの席だった。男性はみんなデリーから乗ったようだった。見ていると一人の男性が皆の食事を買ってきて食べているので、当然知り合いで一緒に旅をしているのだと思っていた。アーマドバド近くで2人が降り、また一人降りてゆくので残った2人に尋ねると乗り合わせただけという。その中の一人はドクターの試験をデリーで受けての帰りという事でインテリだった。みんなと話ているときそんな素振りは全く見せなかった。リーダーの方をとてもたてて政治の話とか私には理解できないけど和気藹々だった。 実は列車中での乗客ウオチングはとてもおもしろい。人間の本質的キャラクターはどこも同じ。フンフン、このお嫁さんとお姑は上手くいっているなとかこの孫、もっとお祖母さんを大事にしろよ。いやこれは本当の孫ではない孫のお嫁さんではとか。乗客の人間関係を勝手に推量して楽しんでいる。街の中で見るだけでは絶対分らない人間関係が28時間もびっちり一緒にいると見えてくる。 |
| 食事 お弁当持参も多い。カレーにプリとか持ち込み、みんなで手で食べている。一緒にどうぞとよく誘われるが限られた量の食料なので大抵は辞退する。食堂車はないが、食事どきには車掌が注文を取りに来るので注文もできる。でも小さな列車内で料理するので非衛生だと聞いたので私は注文しない。停車する駅で物売りが乗り込み、果物、ナッツ類、飲み物など売っている。ただしヒンズ語での呼び声なので、包まれたモノは何なのか分らない。先日、「オモレッツー」と言って朝売りに来たので向かいの席の若い女の子に「egg?」と聞くと「yes,egg and bread」「Is this nice?」「yes」と言うので買って食べた。以前はこのようなモノは売っていなかった。パン、卵、コーヒーの西洋の朝食がインドにも入り込みつつあるようだ。冷めていたがトマト、オニオン入りの香辛料がたっぷりのオモレツは美味しかった。ただしパンは食パンのぼそぼそしたものだった。もちろん箸もフオークも無い。手で食べる。 私の旅では何時も乾燥ナッツ、干しぶどう、カッシュナッツ、アーモンドを持ち歩いている。もちろん現地調達。ピーナツはオイル分が多すぎてあまり好きではない。これに水があれば飢えることはない。だが私の胃袋は我まま日本人。28時間、同じものを食べたくないとノタマウ。 そこでキョロキョロ隣人の買ったものを覗き込み、「これなら食べれると」と叫びカレーにありつくこともある。私の胃袋は強健なのかインド(どこでもだが)でお腹を壊した経験はゼロ。 チャーイ、コーヒー? チャイもコーヒーもいつも車内のどこかで売っている。でも最近のチャイは美味しくなくなった。プラステックのカップにティバッグを入れ、ミルク、砂糖の入った温かい液体をヤカンから注ぐのである。昔は、いいえ10年前は特に冬、おじさんが炭の入ったコンロの上にこってり煮出したチャイの入ったヤカンをのせて、コンロの持ち手をもって売っていた。カップも素焼きでアツアツの美味しいチャイを飲ませてくれていたのに。今でも時たま出くわす街角ではこのようなチャイ屋があり地元客で賑わっている。だが列車の中は一過性の客。そこまでして高くしたら売れないと言うわけだろう。だいたいチャイは4、5ルピー12円くらい。チャイが美味しくないのでコーヒーをと思うが、コーヒーは苦さを楽しむのにインドは苦いからとインスタントコーヒーを薄く薄くいれる。やっぱりおいしくない。でも温かい飲み物が欲しいので美味しくないといいながらティバッグを長く浸して、フリフリを繰り返し暇に任せていかに美味しいチャイにするかと試すこと一日5回。 |
| 車内のエンターテイメント 時折子供、10歳前後が多いが、席へやってきて歌を歌ってくれる。タンバリンのような楽器を持ってくる子もいる。ほとんどの子供がいい声をしている。歌い終わるとバクシシーをねだられるのであげる。何かをしてバクシシを要求するのは何もしないで要求するより良いと思っている。先日の列車ではオカマのお兄さん(お姉さん?)3人連れがやって来て歌い、踊ってくれた。もちろんお化粧をしてサリーを着ていた。こういうとき外国人は目立つので一番にバクシシをねだる相手となる。特にどこでも私はこういう人種から好まれる。私自身もこのような人は好きな方だ。彼らの考えや行動は中性的ユニーク。個の表現が巧みである。「your hair is beautiful」などと言って側を離れない。たまたま小銭をチャイで使い果たしていたので上げなかったら、またやって来て歌ってくれった。その時はチャイのおつりがあったのであげた。車窓の景色も楽しいが車内も楽しいことがありますよ。 |
| ごみ これはインドにとって最大の問題と思っている。何しろごみ箱がない。全てのごみは窓からポイ!である。列車に乗って初めてごみを捨てる時、何時も躊躇する。今回もどうしょうと思案しているとインドの人が私の手からごみを取り上げ、窓の外へポイ!だんだんと私も慣れてきて、選択の余地なしと窓からポイ!と捨てることに慣れてしまう。それにプラスティックごみが増えている昨今。そうすることに慣れる自分が怖い。沿線はごみだらけ。プラスティックは腐らない、牛も食べない。いいえ、食べ物の匂いが付いていたら牛もプラスティックを食べているだろう。駅でもそうなのだが、たまに駅は箒で集めていることがある。だが、全ての沿線を箒で掃くのは不可能。 街中でもごみ問題は同じ。ごみためには牛、ハリジャンの人が必要なものを漁っている。だがここもプラスティックが増えている。チャイのカップもプラスティックになったし、食べ物もプラスティック容器が増えつつある。インド政府は対策を考えているのだろうか。 以前は車内がごみだらけだったが、最近はインドもマナーが向上して窓からポイ!これは向上と言えないか。以前はインドの西側はさほどになかったが東へ行くほど車内もトイレも汚くなっていた。だが最近はトイレも汚い!と鼻をつまむ事はなくなった。普通の日本人が見たらまだ汚いと言うだろうが、以前よりトイレはきれいということだ。いまでも路上暮らし、駅住まいのハリジャンの子供達が箒で車内を掃き、デッキから外へゴミを掃きだす。そしてバクシーシを強請るのである。タイミングの悪いハリジャンの子は他の子が掃いた後やってくるとごみがない。掃く真似をするが誰もバクシーシをあげない。生存競争は厳しい! でもインド社会ではこのようなハリジャン、車内での物売り、歌って稼ぐ子供達、掃除をする子供達を決して追い出さない。インド社会には全てを受容するやさしさがある。それぞれのステイタスで精一杯生きている。 おわり |